進化する検索アルゴリズム

検索エンジン業界の動きが慌ただしい。2004年に入ってからの3ヶ月半を振り返っても、米Yahoo! Inc. の Google との”離婚”と Yahoo! Search Technology のリリース、Google Local Search や SmartView によるローカル検索・広告市場の始まり、Eurekster や MSN Newsbot、Google Personalized Search などに代表されるパーソナライズド検索の登場など、今後の検索エンジン市場はもちろん、企業のウェブマーケッター担当者の関心のある SEO や検索連動型広告の動きにも多大な影響を与えるような動きが活発だ。
一方であまり語られていないが SEO をマーケティングの手段として活用している企業はもちろん SEO 会社にとっても今後憂慮すべき問題はある。それは検索アルゴリズムの高度・複雑化による SEO 作業への負荷の増大だ。
例えば昨年末から今年初めにかけて Google が採用した数々の新しいアルゴリズム。この数ヶ月の間に Google は次のような技術を採用している。
・セマンティック (Semantic) …Webページが何について記述されているかを分析・判断する技術。Webページのコンテンツを判断するための新たな切り口
・ステミング(Stemming)…セマンティック技術をベースにした、検索ユーザーの検索意図をより良くくみ取るための技術
・ヒルトップアルゴリズム(Hilltop Algorithm)※… "Authority" "Expert" という概念を利用した、従来の PageRank 技術の欠点を補うためのアルゴリズム
・新しいスパムフィルター…マルチドメイン(サブドメイン)スパムに対処するための新たなロジック、ウェブログや掲示板、自動登録型リンク集からのリンク処理判断の変更など
また、米Yahoo! からリリースされた Yahoo! Search Technology には "Authority - Hub" という概念をベースにしたアルゴリズムが採用されていると言われる。
これらの検索アルゴリズムに共通するのは、その主眼が「Webページをより的確に理解すること」と「検索者の意図をより的確にくみ取ること」に置かれている。つまり、従来より多様な視点から - より人間の思考に近づけて - 任意のキーワードに対して提示すべき、本当に質の高いWebサイトの特定と共に、「ターゲットとするキーワードをここに配置しておこう」とか「ここから無数にリンクを張り巡らせてリンクポピュラリティーの効果を高めよう」といった、小手先のテクニックにより上位に表示させてきたWebを排除していく動きだ。
先ほど挙げた Google の新アルゴリズムは幸いにも日本語環境にはまだ適用されていない(2004/04/16)。しかし、ステミングについては日本語への適用の影も見られるなど、検索技術の向上を考慮すれば今後はおそらく日本語検索にも実装されることだろう。
例えばヒルトップまたはそれに相当するアルゴリズムが本格的に動き出せば、従来ほど簡単にリンクポピュラリティー対策はできない。外部からのリンク自体はウェブマスターのコントロール外であったからそれ自体の対策は困難であったが、今後はさらに厳しくなる。単純に見かけ上のリンクを増やせば良いというのではなく、Web自体が検索エンジンフレンドリーな構造であるとともに「ユーザーにとって価値のあるコンテンツを有する」ことも必須事項となる。
ロジックが複雑化するため従来社内のウェブマスターでSEO の対策を行ってきたものにとっては過大な負荷と労力がかかることが予想される。もしかしたら対応ができなくなるかもしれない。SEOを専門とする会社にとっても同様で、従来よりも深い分析と適切なSEO施策のディレクションと戦術が求められるため、個々のクライアントに要する作業時間も増大していくだろう。
幸いにも現在の日本のSEO市場では旧来の方法で何とか対策を打つことが可能だが、今後はそう簡単な世界ではなくなっていくのではないだろうか。
