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日米SNSの違い 自由参加制と招待参加制


日米SNSの違い 自由参加制と招待参加制をはてなブックマークに登録する 日米SNSの違い 自由参加制と招待参加制をクリップ! この記事を含むECナビ人気ニュース[2006年10月16日]

米国初のSNSの多くはFriendsterの1,300万人を筆頭として数百万単位で会員を持つ企業が多い一方、日本のSNSは最大でもmixiの20万人と一桁以上の違いがある。米国のSNSはインターフェースが英語であり英語圏全てのユーザーが参加対象になるという事情を考慮したとしても、会員の増加率が顕著に異なる。この会員数の差が開く理由は、SNSへの参加制度の違いがある。



ここで自由参加制と招待参加制のシステムについて説明をする。

自由参加制

SNSに参加を希望する者が、当該SNSのWebサイトにアクセスし、登録申請を行うことで利用可能になるもの。インターネットにアクセスできる環境と電子メールアドレスさえあれば基本的に誰でも参加が可能となっている。

招待参加制

SNSに参加を希望する場合に、既に当該SNSに参加している者から招待状を受け取る必要があるもの。その招待状を受け取った者のみが参加資格を得られる。招待参加制度を採用している企業はそのSNS利用規約において、交流のない者に対して招待状を送付することを禁じているのが一般である。つまり招待状の送付対象はオフラインにおいて交流関係のある人物に限られる。

米国を初めとして海外産のSNSの多くは、そのネットワークへの参加条件として自由参加制を採用しているものが大半である。対して日本のSNSの大半は招待参加制を採用している。この参加条件の違いが、日米SNSにおける顕著な会員数の差を生み出している。

なぜこうした制度の違いが生まれたのだろうか。SNS企業の経営者のインタビューや発言などから、次の3つの理由にその答えを見いだせる。


(1) 人脈形成方法の違い

日米における他者とのファーストコンタクト(見知らぬ人同士が初めて接触すること)の取り方に対する文化の違いが背景にあると考えられる。

そもそも日本のSNSの多くが招待参加制を採用している理由としてよく挙げられる理由は、仮に自由参加制とした場合、あるSNSに登録をしても知り合いが誰もいない状況が発生しうる。しかしSNSは社交を楽しむ場であるから(1人では)楽しくない。招待参加制とすれば、参加時点で少なくとも1名以上の知人がいるのだからSNSが楽しめるはずである、とされる。

自由参加制を採用する米国のSNSの参加者は楽しんでないのだろうか。これに対して
中国と米国でSNSを起業した経験のあるフェアオークスの前川は次のように説明する。「米国人と中国人は、知人の知人が興味のある人物であった場合、その(自分と直接の)知人を介さずして目当ての人物にコンタクトを取ろうとする。連絡を受けた人物も相手のプロフィールを見て気に入れば返事もするし実際に顔を合わせることもある。対して日本人は見ず知らずの人物に対して、(たとえ知人の知人であっても)直接自分で連絡をしようとは思わないし、仮に連絡したとしても受けた側が拒否するだろう」

つまり米国人は全く面識のない相手でもそのプロフィールから興味を持った場合、直接コンタクトを取ろうとするし、コンタクトを受けた側もそれに応じる。日本人のように見ず知らずの人物からの接触に対しても積極的に対応しようとする。

こうした背景を理解すれば、米国のSNSが自由参加制を採用する理由も見えてくる。つまり、後述するが招待参加制を採用した場合は短期間に多くの新規会員を獲得するのは困難である。しかしSNSが新たな出会いを創造する以上は自由参加制を採用してネット上の多様な人々をSNSに流入させ、各々の個人が新たな出会いを求めて積極的に活動するような環境を構築した方が、オンラインでの人脈の拡大にも繋がるし同時にその人脈の広がりを楽しむためにSNSでの滞在時間も増えることが見込まれる。SNSへの滞在時間の増加は企業にとって新たな収益モデル構築の可能性をもたらすだろう。米国の多くのSNSが「オンラインでの新たな出会い」にフォーカスした事業展開を行っていることを考慮しても、自由参加制を採用した方が都合がよかったと判断できる。

(2) 将来で想定する収益モデルの違い

2点目の理由としてあげられるのが、将来の収益モデルの見通しにおける日米企業の見通しの違いがある。

日本のSNS企業は総じて米国でSNSが流行っているからとりあえず手をつけておこうと考える一方で、収益モデルについては将来考えるというスタンスをとっていることだ。

例えばKTST.jpを開始したサーチテリアの中橋は「SNSをやりたいのではなく、世界初の携帯電話対応SNSを始めたことを発表して会社の存在をアピールしたかった」と述べているし、mixiの笠原は「2,3年は赤字でも構わないし、まず居心地のいい空間を作りたい」と会員に対する社会的価値の提供を優先している。greeの田中もSNSをより深く知るために趣味で開発しているという。今回インタビューをしたSNS企業の中では唯一、フェアオークスの前川のみビジネスモデル優先で考えていたが、本業として別の事業を持っている会社は特に「まずは日本でのSNSの様子を観察し、会員が一定規模に達したところで収益モデルを考える」といった姿勢だ。

一方、米国のSNS企業を見ると、FriendsterやEureksterはネット広告による収益モデルを前提としてサービスを展開している。OrkutやEureksterは検索エンジンと組み合わせた価値創造を前提としているしLinkedInは求人・求職を求める参加者から手数料を取ることをあらかじめ設計している。

このように最初から将来の収益モデルのグランドデザインを考慮した上でSNSを展開している米国企業にとっては、まずSNSを有効に機能させるための大規模な会員の獲得が優先されている。特に先行するFriendsterに追随するために短期間での会員獲得は急務となっていた。このような事情から、会員を容易に獲得できる自由参加制が採用されたものと考えられる。SNSをビジネスとして成立させることを優先した結果だと判断できよう。

一方の日本のSNS企業は総じて短期、あるいは中長期的にSNSからどれだけの利益を獲得できるかではなく、まずSNSはユーザーに対してどのような価値を与えることができるかを考えた結果として、参加したユーザー(日本人)がすぐに楽しめるような形式を選択した、つまりオフラインでの確立した人脈に基づく招待参加制が選ばれたものと推察される。


(3) プレミアム感を与える招待参加制

3点目としてあげるのは、招待参加制という制度が生み出すプレミアムサービスとしての付加価値である。先述したように日本のSNSはGoogleのOrkutを機に生まれているが、Orkutは海外では数少ない招待参加制を採用したSNSである。

招待参加制というのは、言い換えれば誰もが参加できるわけではないもの、「選ばれたユーザーのみが参加できる」という印象をユーザーに与えることができる。誰もが利用できるわけではないから焦燥を感じさせ、参加の手がかりを得ようと友人や知人にOrkutのことを尋ねるようになる。それが口コミで伝わっていく過程でOrkutの認知度も広がり多くの人がOrkutに関心を持つようになっていった。こうした手法はバイラル・マーケティングで用いられるがOrkutはそれを利用していったわけである。さらにOrkutは世界最大の検索エンジンであるGoogleの社員が開発したというGoogleのブランド価値も影響したであろう。

こうしたOrkutのクチコミを活用したユーザー数の拡大を見た日本の企業が、自然と招待参加制を選択したのは想像に難くない。特にそれを実行していたのがGoogleであるというのが追随を後押ししたのであろう。









         





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