SNS 収益モデルを構築する上での課題
両者に共通する問題として、「SNS内でアクティブに活動してもらうためのインセンティブの設定」と「個人の信用情報の確保」、「ユーザー数の拡大」である。
インセンティブの設定
今でこそmixiはブログやそれに対するコメントのやりとりによって最もアクティブにユーザーが活動するSNSといわれている。しかし今後利益を持続的に得られるビジネスとして育てていくためには、活動の幅を広げてもらう必要がある。例えば米国ほど注目されていないフォーラムの活動や、仮に企業がSNS内にフォーラムを設置した場合に信頼性ある情報を企業に伝えるための土壌だ。
個人間のやりとりであれば気軽に情報交換が行えても、商業目的で参加する企業からの問いかけに対してどれだけのユーザーが素直に、適切に回答をするだろうか。中には企業という営利目的の主体者による参加をいやがるユーザーも出てくるであろう。そうした状況下でも、企業からの問いかけに応じるような仕組み作りが必要である。
その活動を促すためのインセンティブだが、最も現実的な方法として現金還元可能なコミュニティ内のポイント配付の可能性がある。例えば企業からのアンケートに答えると1件あたり50ポイントであるとか、企業からの記述式のアンケートに答えると500ポイントを与えるといった具合である。そして一定のポイントをためたユーザーは希望の商品か現金に還元できるようにしておく。こうした協力的な姿勢を生み出すためのインセンティブ作りが不可欠であろう。
mixiもgreeも、現在はユーザーによる両者に対する愛着に依存している。これはSNS人気という事情も重なっているだろう。今後1年か2年もしないうちにSNSが生活の一部にとけ込んだ場合、現在ユーザーが持っている新鮮さを失い、活動的でなくなる可能性も十分に考えられる。そのためにも、常にアクティブにSNS内で活動してもらうためのインセンティブの仕組みを構築しておくことは必要だろう。
インセンティブの仕組みを構築し、SNS内限定で利用可能なものにしておけば、早期に構築することでそれがユーザーの他SNSへの乗り換えを防止する機能としても働くであろう。
個人の信用情報の確保
招待参加制をとっていることで一定の信頼性が確保されている個人の信用に関する情報であるが、参加者の裾野が拡大してけば必ず最初から悪意を持った参加者が現れるであろう。現在のシステム下においても、誹謗中傷などによりSNSから退会させられるケースが増えている。悪質化が進めば金銭的・生命的損害を被るユーザーも出てくる可能性が十分に考えられる。
これらの問題が発生する理由として、ネットの匿名性の課題が完全に解消されていないという問題がある。招待参加制をとるSNSの多くは、その招待状の送付を電子メールによって行っている。しかしネット上には完全匿名で受信可能な無料のメールサービスは数多くある。例えばSNS参加後に悪意を持った集団に協力する人物が現れた場合、その人物が悪意を持ったユーザーの(匿名の)電子メールに招待状を送付し、そのユーザーが同士を集めることにより、容易に犯罪者の集団をSNS内に取り込むこともできるわけである。
従って、招待参加制度という現在のシステムで安穏とせずに、もっと強固で信頼できる個人の信用確保の基盤が求められよう。例えばネットオークション及びショッピングサイトを展開するビッダーズはオークション参加者に対してハガキを郵送して本人の住所確認を行っている。ハガキに記載されている暗証番号を入力することでオークションへの参加が認められる仕組みだ。たしかに参加するまでにハガキの到着を待ち、さらにそれの暗唱番号を入力しなければならないのは手間であるが、ビッダーズはそうしたシステムの元でも200万人の会員を集めており(04年末現在)、サービスが魅力と感じられればユーザーはそうした面倒な手間に対しても高品質なサービス提供と引き替えに応じるという現れでもあろう。
幸いにもmixiとgreeは最もユーザーの支持をえたSNSであり、こうしたシステムにより離反者が現れたとしても中長期的にはビジネスを展開する上でプラスに働くのではないだろうか。
ユーザー数の拡大
アドバンスモデル及び広告による収益モデルを考える場合、会員数の拡大は急務である。ネットサービスにおいて両者ともにビジネスとして成立させるためには100万人以上のユーザー確保が必要であることが一般化している。mixiもgreeも現在は10~20万人の程度であり、ユーザー数の拡大が急務である。
しかし招待参加制を採用している以上は、短期間でユーザーを獲得していくのは困難である。自由参加制にした場合は個人の信用情報に関する問題が発生する。
mixiとgreeは共に会員獲得のためのマーケティングを展開していく必要があろう。現在の両者は共に口コミだけを活用しているが、SNSというサービスの認知度を向上させるための策も求められよう。SNS参加者が、自分の交流関係にある全ての人に対して招待状を送付しているわけではない。もしかしたら、SNS参加者と交友関係があるのに招待状をもらっていないというユーザーも必ずいるはずだ。特にそれが日常ネットをあまり活用していないユーザーであればなおさらである。こうした潜在的なユーザーにアピールするために口コミ以外にブランディングを行っていくことも必要であろう。


