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SNSの本質的な価値


SNSの本質的な価値をはてなブックマークに登録する SNSの本質的な価値をクリップ! この記事を含むECナビ人気ニュース[2006年10月16日]

SNSが本質的に生み出す価値として、次の2つを挙げることができる。それは「ソーシャル・キャピタルの醸成」と「信頼性という基盤の創造」である。この2つは従来のネット上に存在したビジネスでは実現することができず、かつ課題とされてきたものでもある。まずこの2つの要素について説明をする。



ソーシャル・キャピタルの醸成

ソーシャル・キャピタルという概念の定義については諸説あるが、ここではソーシャル・キャピタルの研究で知られるW・ベイカーの定義を用いる。

彼はソーシャル・キャピタルを次のように定義する。

「個人的なネットワークやビジネスのネットワークから得られる資源であり、情報・アイデア・指示方向・ビジネスチャンス・富・権力や影響力・精神的サポート・善意・信頼・強力」

さらに「ソーシャル・キャピタルに恵まれた組織は、ベンチャー・ビジネスの資金調達を可能にすると共に、組織全体での習得をさらに深め、人から人へ口コミで普及するマーケティングの力を利用しながら、戦略的アライアンスを創出する能力や激しい乗っ取り構成をかわすための資源を手に入れることができる」というビジネス側面でのソーシャル・キャピタルの有効性と、ソーシャルキャピタルを有効に活用できる人の方が就職、給与、昇進の面で成功を収めることを説いている。

私たちは各々が1人で生活しているわけではなく、学校や職場など自らが所属する組織において必ず複数の人々と関わり合いながら生活している。そして多くの場面においてその複数の彼ら/彼女らと一緒にプロジェクトを進めていかなければならない。これはビジネスにかかわらずプライベートでも同様である。

その時、その集団に属する各々のソーシャル・キャピタルが豊かである、つまりお互いに信頼関係や善意、気配りがあれば事は円滑に進むのである。違いの絆が強く、信頼関係を築き、感情を共有することができれば集団に好影響を及ぼすというのである。

つまり毎日人が顔をつきあわせ、様々な会話を通じてコミュニケーションをとり、互いに相手のことを深く理解していけばソーシャル・キャピタルは醸成され、豊かになっていく。しかし現代社会において、自分が関係する全ての人と毎日オフラインにおいて交流が保てるかというとそれは非常に難しい。IT社会となり、職業形態も大きく異なっている。必ずしも毎日会社に出社する必要のない人もいるし、会社には行かず直行直帰で営業に行く会社員もいるであろう。地理的に遠い関係にある人であれば、過去に維持した深い交友関係を維持することは不可能である。

こうした事情から、社内の人間関係の希薄化とそれによる成長性、生産性の低下を恐れる企業から特にソーシャル・キャピタルの醸成の必要性が説かれているのであるが、これを実現しうる可能性を秘めているのがSNSである。SNSが完全にオフラインで醸成されるべきソーシャル・キャピタルを補完できるわけではないが、少なくともオフラインで構築された人間関係とオンライン上では密接に繋がることができる。米国では実際にソーシャル・キャピタル醸成の目的として米ディズニー/エンタープライズ社とジフ・デービス社がSNSを導入し、社内情報共有の最適化や生産性の向上に貢献したという事例も出ている。

信頼性という基盤の創造

オンライン上のユーザーが違いにメッセージを好感したり情報交換する場は掲示板や会議室、メッセンジャーや電子メールといった形で存在している。メッセンジャーや電子メールは極めてプライベートな個人間でのやりとりなので除外するとして、ネット上の不特定多数が同時に参加し、意見交換できる掲示板や会議室においては常にインターネット特有の問題が課題となっていた。

それは匿名性という問題である。例えば日本最大の掲示板である2ちゃんねるは、最も多くのユーザーが集合し情報交換が活発に行われている一方で、匿名性ゆえに無責任な発言、他人を誹謗・中傷する行為、はては建造物に爆弾をしかけた等と虚偽の犯行予告をするものまで現れるような状況である。

掲示板や会議室は代表的な例としてあげたが、ユーザー間の信頼関係に基づいて行われるオンライン取引には常に「本当に信用できるのか」という問題がつきまとう。ネットオークション分野を見ると、取引後に相手の対応を評価する仕組みを採り入れる企業が一般的であるが、それでも物品だけ受け取り代金を支払わないオークション詐欺は後を絶たない。

しかしSNSはこの匿名性を問題とするインターネット上のユーザーに信頼という価値を与えることができる。第1に、特に日本のSNSは招待参加制度を採用しており、基本的に参加している各々のユーザーはその時点で他の誰かからの信用を得ていることになる。さらに他者紹介機能により、各々のユーザーのプロフィール画面に添えられている他者による紹介を読むことで、その相手がどのような人物であるかを知ることも可能だ。

他者からの評価制度はネットオークションで実現されているものの、それはあくまでオークションという特定の取引における話であり、一般的にその人物がどんな人間であるかまでは例示していない。その意味でSNSはインターネット上の全てのサービスに適用しうる個人の信頼性に関する情報を与えることができる。

greeの田中はこのSNSの特性を「インターネットにおけるOS」と例えている。ネットオークションや会議室、掲示板といった各種オンラインサービスをPCでいうワープロソフトなどのアプリケーションに例え、SNSという信頼性の基盤を作るサービスをPCでいうWindowsやLinuxなどのOSにたとえて表現している。これは的確な指摘であり、SNSで確かなる個人の信頼性を維持したコミュニティを創造することができれば、それを基盤にして他の様々なサービスに手を広げていくことが可能となるだろう。

以上、「ソーシャル・キャピタルの醸成」と「信頼性という基盤の創造」は従来のネットサービスが生み出さなかった新たな価値であり、これを基本としたビジネスを考案することで、魅力を感じる企業も出てくるはずであろう。SNSの収益モデルを構築する上で、課金対象はSNS参加者である個人か、それを活用してビジネスを展開する企業、または広告出稿を行う企業のいずれかであるが、特にSNSが生み出す価値を活用したビジネスを展開したい企業にとってこの2つは従来のネット社会のルールを覆しうる魅力的な要素と映るであろう。









         





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