greeの成功要因 人脈の深いハブとコネクターの存在

greeは2004年2月にベータ版として公開されて以来、わずか2ヶ月の間に会員登録が1万8千人を突破し、その時点での国産SNSとして最大手となった。第2章で述べた通り、国内のSNSの特色として紹介制度による参加が必須となっている中、短期間でなぜこれだけの紹介状が送られ参加者を伸ばすことができたのか。
この点について、greeへの参加を促す、幅広い人脈を持つ「ハブとコネクター」の存在がある。ハブとコネクターとは、交友関係が深く多くの人を招待しうる役割を果たす人物を指す。田中はgreeを開設した直後、参加者を増やすために複数の知人に招待状を送ると共に参加者を招待してほしいことを依頼しているがこの時に依頼した知人というのが、田中が当時所属していた楽天株式会社と、交友関係の深かった慶應義塾大学の学生であった。
楽天株式会社はショッピングモールを運営するIT企業であるが、IT企業の社員は全般的な傾向としてインターネット上に登場する新サービスには強い関心を示す傾向がある。彼は最初に楽天の社員にgreeを広め、その社員が同じIT業界の交友関係から招待状を送っていったため、急速に会員が増加したものと推定される。同時に慶應義塾大学キャンパスにおけるgreeの様々な活用方法が考案されたことも影響している。例えばゼミの名簿作りに活用されているといった事例がある。
招待制という仕組みを取る以上、立ち上げ当初の段階で参加者を増やすには、SNS起業家の人脈の深さが重要となる。日本に登場したSNSの起業家の多くはSNSで初めてIT市場に参入した者が多く、SNSに関心を示すような層との人脈は薄かった。対してgreeの田中は既に楽天という組織の中でも重要な地位におり多くの人脈を既に形成していたことが幸いしたとも言えるだろう。greeの開発日誌によると、2月から4月にかけて毎日200~500人単位で参加者が増加したと記録されている。
なお、mixiが最初に選んだ「ハブとコネクター」は、イー・マーキュリー社員それぞれの交友関係を利用した。イー・マーキュリー社は元々アルバイト・転職情報サイトを扱っていたこと、会社の従業員数が33名と楽天のそれ(743名)と比較して小さいことが、IT業界や社内に偏ることなく、幅広い層の人がmixiに集まり、その参加者が各々の交友関係から新たな参加者を募ることとなった。
